轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
バルザック読みのこした分を又ノートとり乍らよみましょう。
この夏を通し、それから秋へかかり、この頃になるまでに、わたしの一生にとって二度とない収穫と成長の一時期が経過いたしました。この期間に、私が学びとりいれたことは、あらゆる読書執筆で代えられないものだと思って居ります。
病気になるまでに(十六年の末)十年間ほどの、わたしの成熟が一段階に到達して、あの頃、わたしが、くりかえし、それから先へ育つこと、「作家」を突破したいこと、を云っていたの覚えていらっしゃいましょう? 自分のその希いのために、わたしは自分の病気も、原稿生活のないことも天祐と思って居りました。チェホフが沖へ出る、と表現したそれを自分に宿題として感じていたのでした。あの時分は、わたしにその要求がめざめていても、いろいろの潮加減で、水脈はとかく岸沿いにゆきやすく、執筆という櫂だけの力では、そこを横に切ることが容易でありませんでした。重宝者になることを、あの頃はあなたも注意して下さいました。生活の事情が停頓的なとき、(複雑な組合せと内容において)芸術家が発育の欲望をもつとき、其は屡※(二の字点、1-2-22)悲劇をさえおこします。