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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

そして何となし愕然とします、怨みがましい睨みようなんてあまり男はやらなかったわ。もとは、もっと自分の力で何事も解決してゆくことができるということを自分で知っていて、そういう睨みかたをしていたと思います。こうしてみると、女くさいあれこれは、自力喪失から生来しているのと見えます。

今、ひとりなのよ。いい心持で、然し眼のまくまくは感じつつ、これを書いて居ります。さっきはあれから護国寺前の本やによりまして、やっと『文春』の十二月号を買い、三浦周行の『法制史下巻』をかい、外山卯三郎の切支丹文化史という本を買いました。三浦さんの本は、上巻は十八年に出ていたらしいのですが、買いそこね。外山さんのものは初期渡来のジェスイストのアカデミー史で、彼等の日本においての様々の経営について知ることが出来るらしい本です。すこしずつ目につくときこっちの本を集めて居ります。何年も前からもっている興味がやはり消えないの、益※(二の字点、1-2-22)ひろまり深まるようです。封建の確立前夜、まだ群雄割拠が納まらない時(信長)、ジェスイストが来て、その時代の人々の心にあれだけ浸透したのは、何故であったでしょう。