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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
皆もお説は尤もだということでした、決して日づけまでをとは申しませんそうです。でもやはり天気予報は有益です。私の身辺のことを見たって。
日曜日は寿の大岡山の室へやっと荷がはこべ八時ごろつみ出させ、ひるすぎ出かけ、夕飯を七輪の土がまでたいてやって、この三四日ぶりではじめて御飯いっぱいたべさせ大安心いたしました。ホテルでも、朝小さい円い型にはめた、(よくジェリーを丸くしていたでしょう? あれ)――のおかゆ一つ。実なしのみそ汁、いわし一尾ぐらい。晩は、用の都合でぬきになった日があった由。この節の旅館暮しはおそろしいばかりです。ですから、ともかく一ヵ月十二円で、おカマで御飯たいて、おみおつけつくってたっぷりたべたら、悲しくなったというの全くよ。おっかさんの顔みてから子供がワーと泣くと同じです。
これで寿も上京して安心してね起きするところ出来たから私も安らかとなりました。従弟が寿と食事してひどさにおどろいて話しているのをコタツでききながら、フーフーふいてあったかいものをたべているんだもの、わたしはそういうのは楽でないのですから。よかったわ、もうこの次の第三次の本引越しについてはもうわたしも御免を蒙ります、二度のことでわたしの分けてやれるものは皆わけてしまいましたしね。