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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

まことにまことに切にそう思いました。そして又思いました。同じ親をもって生れたということは不思議だと。生活の条件の相異でこうもちがうものか、と、氏より育ちをおそろしく思いました。

今度のことは余りのことだから、わたしとして譲歩いたしません。きっとこうなるのよ、今に。Kは事務所を閉鎖してしまい、自分も開成山へゆき、ここは全然なくするから、私は東京にいるならいるで云々と。来年まで待たず、そうなるのではないかしら。国府津は貸すでしょう。段々にそういう準備もいたします。もう少し丈夫になって、神経が調子よくなれバ、わたしも何かすることが出来るでしょうし。この秋までは余り頭や気をつかうのは無理だから。でも考えてみれバ、いいかげん世間の人の倍は此までつかっているわけね。

ハガキでかいたにくまれ口は、笑いながらにらむ、という程度のものよ。(念のために)

今は丁度学生が休みになったので、駅は徹夜で行列だそうです。特に遠方は猛烈のよし。じぶくっていたうちに、こんどの話のようなことおこって、何といてよかったでしょう。国は寿の知らないうち、除籍する方法はないかと云った人だから、(この上迷惑を蒙らないための由、寿がどんな迷惑をかけたでしょう、それほどの)うっかりすると、帰って来ようとするとき手紙が来て、姉さんはとりあえず国府津へ転出