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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

12 一九四五年(昭和二十年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 页

青空文庫

わたしのは一まわり小さくて花がひわ色でした。あれは白バラのつもりですって。

六月二十三日         (2/3)

お手紙をありがとう。この頃のお手紙一通は妙なよみかたをするのよ、算術をやって。全体で何字あるのかしら。先ずそう思うの。それからそれを三十でわります。すると一日にどの位宛たより頂いている割かしらと。配給も徹底するとそうなります。きのうから右腕が痛み、メリケンコを酢でこねた名倉の薬をはりつけてどうやらこれが書けます。国は丸の内です。

六月二十三日         (3/3)

こんなエハガキはみんなそちらからの頂戴ものよ。もう忘れていらっしゃる位古いストック品でしょう。来月一日は日曜日ですね。二日におめにかかって三日に立ちますからカンベンね。

多分そうなるでしょう。寿は追分に行く由です。本月中に何とかするつもりのようです。わたしは仰せかしこみともかく開成山へ参ります。そして東北巡行をやっていろいろ研究して見ましょう。どこもなかなか人ごみらしい風です。

七月七日 〔北海道網走町網走刑務所の顕治宛 福島県郡山市開成山より(開成山大神宮(※(ローマ数字1、1-13-21))、開成山大神宮北参道(※(ローマ数字2、1-13-22))の写真絵はがき)〕