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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

12 一九四五年(昭和二十年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 页

青空文庫

カジョンヌイ[自注6]という言葉が、笑い話の種になっている段階は克服されなくてはなりません。

『国民食糧』お役に立ってようございました。言っていらした雑誌ね、あんなに苦心して(ここまで書いたら、静からしかった空にサイレンが鳴り出しました。)集めましたが古すぎて駄目でしたって。[自注7]残念ね。

きょうは十二日(月)ひどい風が納って安心です。風は大きらいよ、昔から嫌だったのが、この頃は猶更。

昨夜目白の先生が見舞に見えて、もしここが駄目になったら、目白へ行くということにきめました、何しろ焼け出されの人々を、御勝手に、とも云えませんし。そして清瀬の方に、もしかしたら部屋を見つけて貰えるかもしれない話でした。開成山開成山と思っていたってどういう風になるかしれませんから、やはり歩いて行けるところに一つ予備のある方がようございましょう。

やけて来ている人の中に中学一年生がいてね、犬や小鳥がすきで、焼跡の始末から帰って来ると仔犬を抱いたりカナリアを見たりしているの。太郎は田舎で御飯たきをいたしますって。太郎の一生のために何にも代えられない仕合せです。犬好きの少年も太郎も可愛いと思います。