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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
で話がきまり、その負担額を、野原は五百坪もあるから一千六百円島田一千四百円ということになり、この三千円は兼重さんが出した。三号抵当に入っていたのでこれは百八十円、世話人その他の費用百五十円。島田の分は合計千八百円以上の負担となった。これは兼重へ追々かえすことにして頼母子は片づいた。
野原の頼母子の負担は一千六百円ですが、ほかに自分としての借金が利子とも三千円位あって、これも兼重にかりている。土地は時価四千五百円位。買手がつけば一千五百円ぐらい浮いて、本家の家屋敷ぐらいは保てる。兼重も熱心に買手をさがしているというわけです。
Tさんの私たちへの情愛の示しかたについてなど、私は自分の心持は別に申しませんが、この間島田へ行ったときは、お母さんもやっぱりここまで詳しくはお話し下さいませんでした。
お母さんは、事情をあなたが御存じないことを知っているTさんとして、貴方に向っていろいろ事実を歪めることについて御立腹です。そのお気持には私も自然な同感があるわけです。
島田は頼母子からは自由になっているが、兼重という爺さんにはまだ相当の責任があるわけなのですね。