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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

04 一九三七年(昭和十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页

青空文庫

きのう午後二時頃からかかって小説を今かき終ったところ。二十五枚。「二人いるとき」という題。大変なリリシズムでしょう、お察し下さい。内容はリアリスティックですから御安心下さい。この絵は実物はもっともっと新鮮です。一枚五銭でこの物価の時代、色彩の活きたエハガキは無理なことです。これからねるところ。

十一月二十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

十一月二十二日 曇  第三十八信

若い女のひとのための読書案内をするために、最近出たフランスの或女仕立屋の書いたものをよんでいます。そして、その間の一寸したお喋りを。

この本を買うためにさっき外へ出かけ、途中で例のあなたの時計を修繕にやりました。懐中時計。もう動かなくなっているので。そしたら油がきれてゴミが入ってしまっている由。「きかいは割合よろしゅうございます」「買ったらいくら位です?」「今でしたら十円出ましょう」その位のもの? そしてこれかしら、いつかお母さんが洋服と時計を買った(『改造』の当選)といっていらしったの。とにかく又動くようになるのは大変うれしい。留金ばっかり金の可笑しい時計!

一昨日からきのうの朝にかけて、ひどく馬力をかけたので疲れが出ている。