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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

04 一九三七年(昭和十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页

青空文庫

見ぬ魚の大さ。※

十一月二十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(竹内栖凰筆「若き家鴨」の絵はがき)〕

十一月二十五日。この間お目にかかったときよく伺った野原島田のことは私によくよくわかって居ります。あなたのお気持の中から。島田へはこのお歳暮にさしあげましょう。私はお父さんを笑顔にして上げたいから。野原は冨美子が女学校へ入ったら。来年三月。丁度フミちゃんの教育費に十分なわけです。大変によいと思う。皆安心出来て。月謝の心配は女の子は辛いだろうから。※

十一月二十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(鏑木清方筆「鰯」の絵はがき)〕

十一月二十五日、これが例の清方の鰯です。画面の奥までちゃんと描いているのだが、やはり插絵風になってしまっている。芸術家が単に情緒に止った場合この如き技術をもっていてもやはり低俗にならざるを得ないことは実に教訓ですね。日本画にも或る意味でのバーバリスムが入って来ていて(藤田嗣治の田舎芸者のモホー)其様なのも見かけたがまだ外側のものです。※

十一月二十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(中野和高筆「ひととき」の絵はがき)〕