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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
然し、もしそうであるなら、そうで、又私は、それをよいおくりものとして、記憶し得るわけです。そういうことが今日実現し得ないということで語られている作物の価値の意味に於て。
『リカアド』、繁治さん宛のお手紙も見せて貰いました。きょう小泉信三の正統派三人の研究を先に入れ、近日中に『リカアド』が見つかるでしょう。繁さんのところにもないのですから。戸台さんにたのんで居ります。プーシュキンもきょう入れ。
夜具衿とタオル二本。暮に中川へやってあった、訊いたら、「あちらで廃業になって居りませんから」とケロリとしている。別の方法をとりますから少しお待ち下さい。食慾がお出になったのは何よりです。私の方も、いろいろ家の落付く前のゴタゴタで気がつかれているが御安心下さい。然し、真面目に私は、生活の形態というものについて考えます。もっと下らぬ労力をはぶいた、しかも「お姉様」的でない生活はないものかと。あなたは御自分の家として、どのような形をお考えですか。どういうのがいいとお思いになる? 私は勉強、休養、を主眼にした極めて便利な家に、一人でやってゆけるような形で住むのがどうも一等らしく思えます。