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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
玄関から台所の方はずっと襖をとり払って大広間とされて居り、近所の人々が酒もりをしている。その声が中庭越しにきこえる。裏へは急造りのカマドが二つ出来ていて、湯殿の前のところへ台を出し、附近の子供が二十人近く石ころ、レンガ、薪をこしかけにして御飯をよばれている。おっかさんたちが手伝いに来ているからでしょう。
話しているところへ伯母さんも来られ、私がつくという話がわかったら、伯父さん一方ならないおよろこびで、島田の二階の方はさむいが、炭とりがないから一つこれをかしてやろう。花も好きだが、あっちにはないからこれを、と、わざわざ炭とりと花瓶とを運んで下さったのだそうです。私はそうとは知らなかったが、この炭とりには重宝して、本当に伯父さんがおっしゃった通り、そこから炭をついで一寸した書きものをしたりいたしました。花瓶も、お母さんがただ野原からくりゃりましたとおっしゃったが、私を歓迎のためとは知りませんでした。どこまでも伯父さまのやりかたですね。
それからあっちへ遊びに行ったとき、私はあなたがおっしゃったことをもつたえ実際的の話を伺いたいと思ったが、簡単におっしゃり、楽観的におっしゃるぎりで、それ以上つっこめませんでした。