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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

04 一九三七年(昭和十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页

青空文庫

いろんな友達が心配してくれて。三十日一杯でこれまでいたのがかえります。おひささんに縁があること。眼鏡をかけ、うたをうたうのがすきな十九の娘です。女学校を出ている。稲子さんの心配です。

私の盲腸は切らないことに決定したので、野上さんが盲腸の余後にのんだ苡仁湯という漢方の薬をのみはじめました。ききそうです。のみ難いもの。さし当りの仕事としてその有三をかき、『改造』へ四五十枚の小説をかきます。今月は、それでも白揚社の本が出たので何とかやりくれましたから御心配ないように。本当に今度は六芸社の本にしろ思いがけない役に立ちました。待望の書として六芸社のはレビューされています。

『冬を越す蕾』と今度のとの間には大きい成長が認められている。そのことも当然ではあるが、私としてはやっぱり少しは安心してもいただきたいと思って。

林町の連中には、私がかえってからまだ会いません。あっちが国府津へ行って居たので。太郎にお母さんが下さった大きなコマをもって近々出かけます。栄さんは「大根っ菜」という子供を主題した独得の小説をかきました。これは面白い。稲ちゃんは地方新聞に長篇をかいています。