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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
私はこの頃は自分の負性ということについては偏見なしに考えられるようになって来ているし、傷つけられる心持もなしに批評の言葉をもきこうという傾向です。環境的市民的性質のマイナスの作用のことも、謂わばこの頃身に即したものとして見ることが出来、その点も、自分の善意を肯定してその点から自分はとりのけとしておいて、そういうものを歴史性において見るという態度からは育って来ていると信じます。そして、真の成長のためには、現段階で自分のプラスにたよるのではなく、負性に対する敏感さが欠くべからざるものであるのもわかる。「雑沓」が真に描かれるにはこの一点が何か真髄的に重大なものであった。そういうものがそれだけ重大だと分ったのが、昨年夏以後の苦しさのおかげであるというところに、又見のがせない意味があるわけです。
表のこときょうはサボタージュしたねと云われてしまいましたが、十七日にはじめてそちらへ行ったとき、もういいでしょうというようなことを云っていて、それから又あとに、熱は十日まででよいがと云われ、じゃ二月一日からちゃんとつけて、というようなことだったと思います。あなたがああいう目をなさると、駄目よ。