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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

そして、何と皆それぞれ納っているのだろうとかこちました。そちらの向い側です、バスの通りを挾んで。それから、今度はそちら側にうつって、ずーっと池袋駅に出る迄の裏をさがしましたが、これもナシ。工場といかがわしきカフェーがちゃんぽんに櫛比して居ります。鉄、キカイの下うけ工場があり、ゴムの小工場がある。昨日歩いたところとは同じ側のすこしずれたところですが。歩いて十五分―二十分ぐらいのところは理想的ですが余り望みない。昔からの条件で界隈の性質がきまってしまっている様子です。中途半端のきらいはあるが、雑司ヶ谷五丁目のぐるりには気をつけていたら或はあるかもしれませんね。七丁目となると東京パンのあたりでずっと遠いし。大体見当はついたから、これからそちらからのかえりにも気をつけ、おひささんにもさがさせます。おひさ君はやすとは全くちがった気質です。アラーつい見なんだと目の前にあるものも見ない、そういうところあり。いきなり家をさがしに出したとこ。そういう点やすはしっかりして居りましたね、自分の判断というものをもって行動した。感心でした。

○さっき徳さんより来信。十九日(日)のばして二十日の分は、用事のためとばすと云ってよこしました。