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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
は文芸春秋のために書いたが、内務省検閲課の内閲で赤線ばかりひかれて、発表されなかった。反戦的傾向の故をもって。
三月十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
三月十八日 第二十四信
手紙がかたまらずに着くと思うとうれしいこと。
「発見」ということについてこの序文(第二巻への[自注8])の中になかなか面白いことが云われて居ります。酸素のことですが。十八世紀には酸素がまだ知られていないので、物の燃えるのは、燃素という仮定的物体が燃焼体から分離されるからと考えられていたのですってね。十八世紀末にプリーストレーという科学者が燃素ともはなれて、一つの空気より純粋の気体を発見し、又誰かが発見したが、二人ながら従来の燃素的観念にとらわれていて「彼等が何を説明したのかということさえ気づかずに、単にそれを説明しただけであった」ところが、パリの一科学者が燃素が分離したりするのではなくて、新しいこの光素(酸素)が燃焼体と化合するものであることを発見し、真の発見者となった。と。そして「燃焼的形態において逆立ちしていた全科学をばここにはじめて直立せしめた」と。経済関係の基本的な点にふれて云われるが、どうもこの燃素的観念というものは、ひとごとならず笑えるところあり。