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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

「彼等の芸術が吾々の上に持つ魅力は、それを生い立たせている未発達な社会段階と矛盾するものではない。魅力はむしろ後者の結果であり、未熟な社会的諸条件――その下にあの芸術が成り立ち、その下にのみ成り立ち得たところの――が、二度と再び帰らぬことと、はなれがたく結ばれている」等を引用して、全く逆に使った。そして、「大人は二度と子供には成れぬ」という意味の深さ、更に「子供の純真は彼をよろこばせ、彼は更にその真実をより高き平面に復生産しようと努めないだろうか」と云われていることの文学における現実の意味はまるでかくしておいたこと。

「あらゆる神話は想像において、想像によって、自然力を征服し、支配し、かたちづくる。だからそれは自然力に対する現実の支配が生ずると共に消滅する」というのも何と面白いでしょうね。

――○――

菜の花の色はこの紙に押してつかないかしら。駄目ね、花粉がつくだけで、しかもすぐとんでしまいました。長くなるからこれでおやめにいたしましょう。きょうは寒いこと。それなのに大潮の由。潮干狩、この寒さでやる人もあるかしら。虹ヶ浜に潮干狩があるのでしょうね、やっぱり。