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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
おじぎして来て、二時にお葬式ということ故角まで見送ろうと思って。
昨夜は、それでもお婆さん御満足でした。戸塚では締切り間に合わず、やっと旦那さんだけ。この紳士がたは年よりを中心に話すなどという心がけがなくて、てんでの話題でてんでに喋って私は気がつかれましたが、又それも考えようでね。ああ、こんな風に、あれも喋っていたんだなと思い出され、私が心配したほどわるくはなかったかもしれません。おみやげに小さい袋にハンケチ二つ入れたのあげました。刺繍のしてあるきれいな布地があったのでバラさんが袋にしてくれたのを。秋また来るそうです。もう二三日でかえる由。かえる迄にもし天気がちゃんとしたら上野か溜池三宅坂の桜を見せにつれて行こうかと思って居ります。
今夜、池さん、送りにゆくのはやめました。却って迷惑らしいから。この頃はそういうのが一つのモードなの。光子さん夫婦にしろ。私には送ってくれなくてお志は十分というようなところ。この頃何と人の生活の移動が多いでしょう。生れる。入学する。職業が代る、その他。元の友人の中で何人か重役が出来ているのだから大したものです、小・信、井・卓その他。