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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
五月二十七日 第四十二信
落付かない天候ですね、御気分はいかがでしょう。夜着そろそろお手許に届く頃ですね。一昨夜と昨日は一寸芸当をやってね。私たちふた児なのかしら。心臓がすこしガタガタしてきのうは一日床の中。きっと神経性のです。先工合のわるかったときそういう診断でしたから。すこし眠り工合が妙になっていたから。その故でしょう。十分気をつけて安静にして居りますから大丈夫です。読んだり書いたりも控えて。(これは別よ)お母さんおかえりになって吻っとして御褒美頂いて一息いれるつもりでいたら、そちら工合がよいとは云えなくなったので急に気が又張って、疲れが内攻してしまったというのでしょう。小さな肝ね。こういうこと書くと、ユリ、又宵っぱりしたな、とお思いになるでしょうが、それは断然そうではないのです。
二十九日
きのうは一日おきていて、普通に暮しました。十枚ばかりのものも書いて。もう大丈夫。眠ることも普通になりましたし。午後、佐藤さんが、工合わるがっているときいて聴診器をもってよってくれて、胸の音をきいてくれました。きれいな音の由です。実質に故障があればズットンズットンときこえる由。