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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

ネズミです、そこで死んでいるのですから閉口。自分でとてもとれない。誰かにとらせなければならないが、ひさに、してとは云えません、何しろ、家では私が一番勇気がなくてはならないわけなのですもの。一番いやなこと、こわいこと、苦しいこと、それは私が先頭に立たねばなりません。奥さんですからね。とれないのにひさを気味わるがらせるに及ばず黙っています。こっちは、「藪の鶯」でかんかんなのだから。書き終ったら誰かよんで来よう。そう思っていたら、ゆうべ偶然小説をもって佐々木一夫さん来。おったて腰で話していたうち、ああ一つたのもうと思いつき、急に寿江子と二人が勢立ったので、佐々木さんはふしぎそう、鼠の一件を話したら、「それは何でもない」と、きっといやだったのでしょうが、立って出してくれました。いいあんばいに燐をのんでたおれたのだったから、清潔だったけれども。ぐったりする位安心したと寿江子と大笑いしました。

きょうは、午前中から時雨さんの会に一寸出て、かえり、今、二十枚かき終ったところ。

あつい日ですね、背中がじっとりして居ります。熱中してかき、面白かった。

こういう風な、比較的、総合的で立体的な勉強をすると、なかなか自分のためになるところがあります。