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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

もののくみあわさった、小さい作品です。ある雑誌のカットを見ていたら、そこに乙女の裸体が描かれている粗描を見出し、それをかいた男が、乙女のなくなった良人である勉の友人の一人ではあったがデカダンスの故にきらっていたその男であるのを見て、ひろ子が非常に切なく感じる、乙女もあるときは善意で生きたそれに対してもくるしく思う、そういう場面もあります。情感的であって、一味貫いたものがある味いですから、サラサラサッと簡単にはかけなかった。小粒ながら、実はつまった小説。そして小さくても書いた味は小説は小説。小説はつくづくすきだと思います。

本月は、間というものがなくてずっと次から次へ仕事がつまっていて、しかも一人三役で、本当に本当に盲腸がなくて何と楽でしょう。きょう女中さんのこと、心がけていてくれたもとの私の先生の女のひと、わざわざことわって来たからと云って知らせに来て下さいました。その女は、田舎のひとで、亭主曰ク「おやが貰えと云ったから貰ったまでで、俺にはとっくから好きな女がほかにある。俺の女房じゃない、親の嫁なんだからそのつもりでいろ。」そして、一ヵ月もしたらほっぽり出して妾のところへ行ってしまった。