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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

かえりに弁護士会館へまわって、いつぞやの人の方すっかり話がつきました。自分から届けを下げるそうです。自分でも、公判通知が来たので思い出したという範囲の由です。足労に対しては十分のこといたしますから御安心下さい。それがもう二時すぎ。おなか大ぺこで、日比谷の中の更科でおそばかきこみ。そこから林町へ電話かけました、昨日が予定日でしたから。もしか来て欲しくなっているのにいどころがわからないなど云ってさわいでいると可哀想故。そしたら、すこし何だか工合がふだんとちがって国ちゃんおそくなるというので、一旦家へかえり五時頃出直して、只今は林町の食堂。ここはこの頃皆腰かけです。もと、この食堂で手紙かいた時分は坐って居りましたが、今は腰かけ、きょうなどほんの二時間余、うちで座ったきり故何だか脚が重いようだこと。

電気時計が音をたてて廻っていて、二階の雨戸しめる音がして居ます。太郎今ねたところ。

明日は一日日比谷です。そして明後日そちらへ行って見ましょう。あなたのお体に感じられているいろいろの必要よくわかりますから、私の行くことについての御心づかいはいりません。只どうかなるべく体の条件に適したように、やっていらっしゃれるようになるといいと心から思っているばかりです。