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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

防空演習では本年も何人かの命をおとしましたが、咲枝が無事医者に行けたのは幸でした。

この次は八月一日ね。石菖どんなのが行きましたろう。水を打つといくらか空気もしのぎよくなるかと思って。見た目に露があるだけでも。本当に本当にお大切に。

七月二十六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(はがき 速達)〕

『日本経済年報』の昭和八年度の四冊は第十二輯から第十五輯に当ります。只今出ている十四年度前期(後、二冊目)は三十七輯です。とりいそぎ用事を。どういう風に送るかということをどうか栗林氏におことづけ下さい。暑さお大切に。

七月二十六日ひる

七月二十八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

七月二十八日  第六十九信

二十六日づけのお手紙をありがとう。パラパラと書かれていても、それにはやっぱりあなたの声や体が響いていて、くりかえしよみます。

一昨日おめにかかったとき、余りこまかく体のこと伺っているひまがないようでした。どうかどうかお大事に。今年は全国的旱バツで、しかも空気はしめっぽくて、妙な夏です。チフス大流行の由。私はチフスだけは願い下げですね、忽ちだから。