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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

こういう変化も、意味深いと思います。こういう変化が成長の過程に起ってきて、しかもそれをあり来りの自分は自分という形にかためず、相手の独自性(よかれあしかれ)そこから生じる様々の格闘の必然としてプラスの方へとらえてゆこうとする努力という意味で。そういう努力ではじめて、孤立化ではない箇別の価値が生じるわけですから。

ねえ。この夏一つの暮しかた、それが、どんなに時々刻々の内容となって、作家としてのそういうものに作用し実質化してゆくかと考えると、この作家の独自性ということが、なお重く、新しく呼びかけてくるわけです[自注26]。

[自注22]日比谷は休みになります――東京刑事地方裁判所のこと。公判をふくめて。

[自注23]三日――宮本顕治の公判出廷の日どり。

[自注24]三人の人たち――弁護人。

[自注25]きく顔々にもあらわれるから――当時傍聴席のベンチは、検事局関係者、警視庁特高関係のものだけで埋められていた。公開の公判廷であったが、警視庁の拷問係として知らぬもののなかった栗田という刑事がはっていて、家族のほかに傍聴に来るものを、いちいちしらべ、いやがらせをした。