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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

いろんな妙なことがあるものです。

六日までに一区切りまとめ、次月の分も十五日迄にまとめてしまうつもりです。小説も書いた方がいいのですが、今の私の心持の主流は御承知のようなものですから、そういう作家の人生感情の基調の上に不調和を感じず、しかも外部の条件に適した題材というものがそうざらにはないので、思案中です。『中央公論』で十月にと云っているのですが。『文芸春秋』の「その年」の代りもまだだし。小説というものに求めているものが、私の心の中では益※(二の字点、1-2-22)深い濃い、些細ならぬものとなって来ているのです。あら陰翳が〔約三字不明〕あら、晴れた、そんな風なものでは辛棒出来なくな〔約五字不明〕むずかしい、自分にとっても。今毎月つづけている仕〔約三字不明〕今度大正五年迄。それからの分に次の十年。それからの分に昭和の十年間。それから現在に到る部分。もう七八十枚以上かかるでしょうから、それが終ると、私はどうともあれ「雑沓」のつづき書きはじめそうです。ためておくものとして。あなたに向って、評論と大きな顔も出来ないからマア感想めいたものとしても、そういうものにしろ、やはり婦人作家として生き、善意の生活をねがっている者としてしか書けないものを、まとめられれば、やはりすこしはうれしいところもある。