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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
と電報くれただけだったから。はじめて父親になったひと小説かきたくなるわけね。平凡事ながらやはり決して平凡ではありません。二人でこの赤ん坊見たいと思いました。又いまにあっこおばちゃんのおじちゃんに御対面ねがいます、私が抱いて行くわ。あなたにもはじめての姪ですね。
午後から国男、アボチン改称お兄ちゃん同伴、初対面に出かけます。島田からもおきき下すっていますから御通知いたしましょう。克ちゃんの御良人、十日に岡山へ応召した由、ふと克ちゃん、もしやお母さんになるのではなかろうかと思ったりしました。
今池田さんから電話。お役所の用で来て、十五日ごろまでいる由です。
きのう、本をひっくりかえしていたら「化粧」という詩が目につきました。ごく簡素な清潔な感覚で、女が自分の愛するものにふれられたところを、湯上りに特別の愛着で、ゆっくりと自分たちの情愛への心をこめて、化粧する。そういう詩です。ソネットね。なかなか趣深うございました。
速達(十一日)もう御覧になったでしょう。九年度年かんと一緒の『メチニコフ伝』はいつぞや『ミケルアンジェロ』をくれた人が、あなたへとわざわざ合本してくれたものです。