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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
それに、実に望ましいスピードでないにしろ着々(或は遅々とながら)すすめられている以上、私はそのことにこだわらないでもいいのでしょう?
笑っている口許なのだけれど何だか涙が出てしまった。ね、あなたはユリのための教育の方法としての思いつきと、ユリが日々の感情の全中心をどこにおいて暮しているか、その点での同感と、よく見くらべて下すったのかしら。同感があるからお灸の効果はテキメンとお思いになるの? お灸としての効果という程度で云える場合は、もっともっとちがった生活感情のなかでだと思われます。
単衣のこと。お母さんがお送りになった分で、ずっとお着にならずしまってあるのがあります。この次の夏あたりからそろそろそれらが出て来るわけです。純綿大切としまってありますから。白い麻のようなのですっかりはげたのは、ホラ一昨年紺に染めて寿江子が洋服にして着ているということ、お話したでしょう。筒袖にしたのが一枚。繁治さんにあげたのが一枚。
『医学大典』それは惜しかったこと。『医典』の予約やっぱりあのままにしておきましょう。
森長氏[自注29]のこと、いくらかわかりました。明日おつたえします。