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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

土曜日には、いろいろと濃やかに心づかいして下すってありがとう。大変にうれしい心持でした。それに、読書のことも。

何となし休まってたっぷりした心持になって、ふと気がついて、ああほんとに、これが幸福という気持、と思いました。

御注文の本のこと、二三日うちに揃いましょう。合本にしている方がもしかしたらおそくなるかもしれませんね。達ちゃん、隆ちゃんには荷造りしました。きょうが日曜だったので明日出します。お菓子とおかずを入れてやりました。本のほかに。隆ちゃん、又「銃後の皆さまのお志」という手紙くれるかしら。グラフィックなどで馬の口をとって河を歩渉しているようなところを見ると、特別な心持がいたします。それはトラックだって同じです。人が降りてえらい目も見る。けれども馬は、馬も人もなかなかでね。

きょう忘れた頃になって浜松夫人から返事でした。瘍が背中に出来た由です。体も無理でした由。何の病気かしら。やはり胸でしょう。それだけのことが、お習字のような丁寧な字で書かれていたきりです。

晨ちゃんのところからは細君がハガキくれました。よい方に向っているが、ゆっくりかまえていると、それはそうでしょう。