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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
書評についてもありがとう。或人は経済条件について書きたりないことにふれていました。
この頃は、夜早く床に入り、本当に眠るのはえらい時刻となるときがあります。小説のこと考えていて。これは本当に内緒のうちあけ話ですけれど。けさも、三時間ほどしか眠らず出かけ、かえって来たら黒枠ハガキでね。芝の老夫人逝去されました。これから弔問です。花とお香典をもって行きます。御老人さぞ落胆されていることでしょう。あなたのお髯の生えかたは面白いことね。縁どりのようで大変面白いと思い、小さい子供がそこをさわる姿を想います。そういうような生えかたね。生やしたくもない髯についてお喋りするようですが、でも。
小田急にのって出かけなければならないから、只今はこれだけ。葬式は明日ですが、その時間私はよそで御話をしなければならないことになっているので、どうしても、きょう行かなければなりません。では又、明日ゆっくり。シーツとにかく一枚送りました。
九月二十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書 速達)〕
九月二十九日 第九十二信
風が出て来ました。きのうシーツやそのほか届きました。