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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

きのうは一日どうせ机に向えない筈だったのだからと臥て、けさは早くおきて、手の膨れなどなおり、ずっと一日書いて又夜早くねます。そして又、明日早くおきてかいて、その方がようございます。つまり徹夜は一晩もいたしません。なかなかいいでしょう。今夜だって、これから電話かけに一寸出て、これを出して、パン買って、かえってお風呂に入ってねてしまうところです。牛乳にカキを入れて煮てそれをのみます。御心配下さらないでいいでしょう? こう気をつければ。

キュリー夫人について云われていること、全くその通りであると思います。文庫のこともありがとう、私は別なのと勘ちがいして居りましたね。

泰子、ものをかくなんてすすめてならせることではないから、マア静観です。旦那さんを見出すというだけだって、どんなにむずかしいか。咲枝はこんなことよんだら、きっとすこし赤い顔してアラと云って、考えて、そうねえ、と沈思するでしょうね。

森長さんのこととりはからいます、ちょっとおくれましたが。三日に会いました。四日には別な人が行きましたでしょう? いろいろのこと又かきます。きょうはちょっと。諸種の不自由に屈托はしないけれど、実際問題としてこまるわ、そうでしょう? 勿論そうだからと云って屈托もしないけれど。