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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
どうぞ御安心下さい。七、八と随分のばしていたものがあったからたたまったのです。十月、十一月へかけても相当ですが、やっぱり昼間仕事の原則でやりますから、どうぞ御安心。
私はすこしバカね、考えてみると。何故あなたにつかれたことなんか書くのでしょうね。しかもそれが読まれて話題になる頃には、何時だって大体もうその状態はぬけているのに。何だか云ってみたいのね。云ってみたくて、云ってみては、結局大道的方針をあなたにくりかえさせているという形ですね。滑稽ね。妙な甘えかたね。これからは、おやめです。太郎が気をはって何か大いに大人ぶってやって、さて、ああちゃんの顔を見るとフニャフニャになる、まさかそれほどでもないけれども。ほんとうに、もう、疲れ話は一切おやめ、と。全くつかれない生活なんていうものはなく、それは過ぎてゆくものであり、而も根本的に疲れないように方針を立ててやっている以上、そんなこと話題にしなくてもいいわけですものね、その事自体はね。私の「疲れた」はもっと心理的発言なのですね。だから、その証拠に、薬は、早ねしたか、と云われることにないのだから、微妙さお分りのことと存じます。