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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

おっとりした気質らしい様です。

太郎は目下かぜ気味。私も些か風邪ぎみ。

どうぞお元気に。そして、のうのうとして、よみにくい字のものをよみながら御静養下さい。一ヵ月半でも私はすこし気が楽になったの。持続しますから、ともかくね。手紙いつ書いて下すったでしょうか。呉々お大切に。

十二月十六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

十二月十六日  第一一四信

ゆうべ十時すぎにかえって来て、暗い茶の間からフヂエが郵便物をもって来たら、なかから思いがけない御褒美が出て来て、本当に本当にうれしゅうございました。

速達は速達としてその日のうちにつきました。

きのうはこの前の手紙にかいた通り世田ヶ谷行で、午後二時頃家を出て高野でポンカンを買って、てっちゃんのところへゆきました。やす子の眼がよほどよくなって来ていて、びっくりしました。すっかり仲よしになって遊んで、大笑いして。

夕飯重治さんとたべて、それから康子だけ見て卯女子をほめてやらないと恨まれるからそっちへ廻ったら、丁度雨が降って来て、私はかぜ気味でいるから、急に息をするのが楽になっていい心持になりました。