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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
例えば肥っている体のひとというのにしたって、ああなるほど、これは自分の心持そのままだというのはなかったわ。そういう不完全な科学性ということも分ってよいし。
いま、下はひっそり閑としています、発ちゃんは母さんと医者へ出かけました。のりものがどれもその混みようと云ったらお話にならないの、きのうは発ちゃんが「ツブレルー」とうなった由。木炭不足で市バス半減の由。この暮はまったくしゅらの巷でしょうね。いろんな用事早くきりあげることです。
この家が益※(二の字点、1-2-22)よい家となります。省線に近いということだけで。黄バスの新橋行で大変便利して居りますが、それが半分に台数へっても、まだ助かりますから省線で。林町なんかおそろしいのよ、この頃は。上野、団子坂、東京駅と循環していたのが全廃になってしまいましたから、昔のように肴町まで歩くか、坂下の電車にのるかどっちかぎりです。きのうの新聞に或るデパートへフラリと来た客が、五千九百円毛皮類買ってケロリとしていたというような風で、今はシャツでも三四十円のものはよくうれるのですって。反物も七八十円から百円ぐらいのが。