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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

考えてみると、二十八日のうちについた手紙でないと、お正月に御覧になれないかもしれないのね。ああ、ではいそがなくては。こちらの本当の大晦日に書いたのでは、そちらのお年越しには駄目ね。

(ここまで書いて、たかちゃんをつれて、佐藤さんの家を教えかたがた郵便局まで行って、フト思いついて自由学園の友の会でもしや洋裁やらないかと思ってずっと奥へ歩いて行ったら、思いがけないところに坪田譲治の家がありました。いかにも雑司ヶ谷の家らしい家のたたずまいで、霜どけの庭が垣のまばらな間から眺められ、新しい二階が出ていて、窓のあいたところからスタンドなど見えました。それを見つけたのは私ではなくて、タカ子よ、なかなかのものなり、でしょう? きいたらば(友の会で)三月から十月まで講習はじめるのですって。家からごく近いし人数もやたら多くないし、三月からならあたたこうなって丁度よい、というし、ラッシュアワーで又バスがひっくりかえったなどと云うのも楽ではないし、きいてよかった、これにしようということになりました。材料の心配も先方でしてくれる由ですから。家から七分ぐらい。歩いて。大変いいわ。