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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
お着になるのもいい心持でしょう、それは本当にあなたが心持よくと思って縫われたものですものね。うれしいと思います。
電車が十銭一循環となって四度までのりかえがきき、五銭足してバスと連絡したり定期をつかえたりしたのがなくなったこと御存じでしょうか。この間一寸した買物があって、迎えに来た書生さんつれて肴町まで二停留場か乗ったら二十銭でびっくりしました。すぐ一円はかかりますね。特急その他坐席指定もなくなりました。そして省線のように立つところのついた汽車が走るようになっているそうです。
森長さんのは木曜日に届けました。手紙つけて。しかし何とも音沙汰なしです。おっしゃった通り、例年のとおりしたのですが、よかったのかしら。物足りないのかしら。いつも手紙よこしたりしていたから何だか調子がかわって感じられますが。いかがなものでしょうね。
隆治さんの方へ雑誌や本はゆくことがわかりました。
『世界知識』というの、今出ているの? こんど自分で南天堂へでも行っていろいろ注文をまとめ、整理しなくては。そのときよさそうな本もさがしましょう。自分で見なくては何だか全く思うにまかせませんから。