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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

10 一九四三年(昭和十八年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页

青空文庫

「姉さんは只みていてくれていいんだよ、時々声援してくれる位で」

「ほんと? 何かひっぱり出して、姉さんそれ二階? なんていうんだろう」

「そんなこというもんか!」

セルの上にハッピ(本もののはっぴよ、大工の棟梁がくれた)をひっかけて国が着手しました。この食堂の描写をしたらオブローモフはだしですね。空いた大きい木箱をもって来ていらなくなったものは片はじからそれに入れます。わたしは鈴木文史朗のヨーロッパ旅行記をよみよみそれを見ているというわけ。そして感服するの。

「こうやってみていると、やっぱり国男さんでなくちゃ通用しない片づけかたというものがあるのねえ。ああちゃんがいない方がいいね。アラそれやっ子の薬よ。アラそれはお父ちゃまて云われないからね」

「それゃそうかもしれない」

「私はもううわばみ元気が抜けたから片づけはきらいになっちゃった」

ウワバニンとかいう砒素の薬(それをうちはウワバミというのよ、きらって)を水上さんは注射してその刺戟で亢奮していた頃私はよく女人足と自分をよんでいたでしょう?(いやね、私の神経は丈夫にするためには鎮静させなければなりませんでした、だのにね。