轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
木曜日ごろ上ります。
きょうは一寸御相談です。Tの結婚について。あのひとはもう二十七八になりましたが、田舎では思わしいこともないらしくて未だにああやって居ります。田舎らしい好条件がそろっていないからでしょう。ずっと気にして居りますが、これぞという思いつきもなくていたのですが、あなたは、もしや昔、牛込区の坂の近所のきたない下宿にいた、Nという早大英文科か何か出た人のこと覚えていらっしゃるでしょうか、もう四十近いでしょう、私は全く存じませんでした。わたしが留守の間本を処分するについて戸台さんにたのんだらこの人と二人で来てくれて丁寧に世話してくれたそうで、去年の暮又一かたまり払ったとき初めて会いました。今そのひとは横浜の航空機の会社につとめました。私の見たところでは人柄がじみではあるが、或るあたたかみがあり、いろいろ苦労もしたらしいから考えかたもふわついていず、瀧井孝作と俳句をやったりしている様子です。そんなことで何かわかる人柄で、手織りの紬のようだが、孝作のようにその味だけの人でもなく近代の精神ももっているらしいが、大規模の人柄ではなくて、妻はやはりうちをキチンとしていくらかは風情あるこころも解するという程度の人がいいらしいのです。