轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

たまものまえ

玉藻の前

岡本 綺堂

在线阅读岡本 綺堂《玉藻の前(たまものまえ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,703 字 · 261 页

青空文庫

そちには何を取らそうぞ。金か絹か、調度のたぐいか、なんなりとも望め」

藻の涙は染め絹の袖にはらはらとこぼれた。

「ありがたい仰せ。つたない腰折れをさばかりに御賞美下されまして、なんなりとも望めとある、そのおなさけに縋って、藻一生のお願いを憚りなく申し上げてもよろしゅうござりましょうか」

「おお、よい、よい。包まずに申せ」と、忠通は興ありげにうなずいた。

「父行綱が御赦免を……」

言いかけて、彼女は恐るおそる縁の上に平伏した。忠通と信西とは眼をみあわせた。忠通の声はすこしく陰った。

「優しいことを申すよのう。恩賞として父の赦免を願うか」

この願いは二様の意味で忠通のこころを動かした。第一は乙女の孝心に感じさせられたのと、もう一つには自分の過去に対する微かな悔み心を誘い出されたのとであった。北面の行綱に狐を射よと命じたのは自分である。行綱が仕損じた場合に、ひどく気色を損じたのも自分である。勅勘とはいえ、そのとき自分に彼を申しなだめてやる心があれば、行綱はおそらく家の職を剥がれずとも、済んだのであろう。勿論、彼にも落度はあるが、さまでに厳しい仕置きをせずともよかったものをと、その当時にもいささか悔む心のきざしたのを、年月の経つにつれて忘れてしまった。