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げんかにおけるどうわのしめい
現下に於ける童話の使命
小川 未明
「蚕糸会館に於ける日本国民童話協会発会式講演」1941(昭和16)年6月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,064 字 · 6 页
それをするには国民に一つの希望を持たせ、目的を持たせなければならぬ、これは即ち童話の使命であると思います。
童話と云うものを余りに低く評価して来たのでないか。今日の子供の頭を統一して行く、子供の思想を統一する、子供を何処に連れて行くかと云う事が、指導階級に分かって居ったならば、児童の思想統一は軈て日本国民の思想統一になると思います。青少年の思想統一を抜きにして、国民の思想統一はあり得ないと思います。それは文化の上に於いて色々の分野がありましょうけれども、私は矢張り童話と云うものは非常な力を持って来るのではないかと思います。
何故かと云うと私共は、日本の昔話に依って教化されて来たのであります。我々の聞いた昔話は、今から見れば色々に欠点もあったでしょう。併しながら仇討ちの話にしても、滑稽な話にしても、どんな話をとって来ても、そこには昭々たる伝統があった。伝統に準じて話が出来て居った。そこには矢張り祖先の訓戒があった。民俗の血が流れて居った。矢張り昔のお話には、日本国民の伝統的精神が、その中にあった。これが矢張り子供達に与えた感銘と云うものは深いのであって、我々が今日斯うやって成長して居るのも、世の中を見る目を養われたのも、子供の中に聞いたお話が、余程力になって居ると云う。