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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

ツル子の思う通りになった。

才蔵はツル子の本心を知らないから、シメシメ、万事思う通りになった、箱根でツル子をわがモノにしようと、これも内々ほくそえんでいる。

ツル子はサルトルに逐一報告して、計画をねった。

「雲隠さんを信用しちゃ、いけなくってよ。とても腹黒い人だから。才気にうぬぼれているから、だまして使えば、調法かも知れないわ」

ずいぶん人の悪い観察をする。これでは雲さんもやりきれない。

「私、おねがいがあるのよ。箱根へ行ったら助けていたゞきたい人があるの。今マニ教にカンキンされているんですけど」

「ハヽア。なるほど。寝小便の重役ですな」

「えゝ、そうよ。でも重役というのは、ウソなのよ」

ツル子は正宗菊松を重役に仕立てゝ、マニ妙光様の生態を撮影したカラクリを説明した。たとえ三日の間でも、お父さんとよんだ寝小便じいさんを、魂をぬかれッ放しにカンキンしておく無慙さには堪えられない。

「天草商事のチンピラときたら、それはとても残酷な悪漢なのよ。あれほど利用しておきながら、助けてあげる計画などは相談したこともないのよ」

「なるほど。きけばきくほど、骨の髄からの新興財閥ですな」