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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

なぜって、わが社の幹部全員がここに監禁されていますから、あとに残された連中は金を動かすことができません。ボクが帰れば五百万でも一億でも平チャラです。使者の社員も、かならず、そう申し上げていることと思いますが」

「キサマ一人で、マチガイなく、できるか」

「できますとも。二人三人の人手のかかる仕事ではありません。第一、ほかの三人が不逞の心を改めるまで待っていたら、皆さんもシビレがきれてしまいます。あの三人のガンコなことときたら、話になりません」

「今日中に戻ってくるな」

「戻ってきますとも。五百万円ぐらいには代えられません。あの三人が居ないと、社の仕事にさしつかえます。仕事にさしつかえると、一日五百万円ぐらいずつ、穴をあけますから」

サシで話し合えば、もう、しめたもの。神様や化け物を煙にまくのはワケがない。

「よろし。今日中に、きっと、マチガイないな」

「そんなの、云うまでもないです。しかし、五百万円もってきたら、きっと、あとの三人を釈放してくれますね。嘘つかれたんじゃ、ボクは世間の信用を失って、失脚しなきゃなりません」

「だまれ! 神の使者が嘘をついてたまるか。