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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

現代とても同じこと、法治国、文明開化のオカゲによって一応の秩序は保たれているように見えるが、裏へまわれば、裏口営業もあるし、巡査はボスの手先をつとめ、税吏は酒池肉林の楽しみをつくす。地頭や代官、岡ッ引と変らない。大名会議の席上、大名の一人が前をまくってジャア/\やったり、男大名が酔っ払って女大名を口説いた。これは表芸の方であり、裏芸の方ではワイロをせしめたカドによって小菅の方へ引越したという。上は総理大臣より浮浪児パン助に至るまで、ドサクサまぎれに稼ぎのできる人材を新興階級といい、末は大名貴族となる名門の祖先なのである。

ところが、ここに、物の本には現れてこない一群の人間層があるのである。十五六から二十七八に至る少青年層の半分ぐらいをしめて、野武士でもなければ、武士でもないし、坊主でもない。これを、学生、生徒とよぶのである。この新発生動物層は果して何物であるか、というのが、本篇の主人公、正宗菊松氏の胸にいだいた恐怖の謎であった。実にむつかしい謎である。今までルルと述べてきた心境は、正宗菊松氏の偽らざる胸の思いで、作者の関知するところではない。

正宗菊松氏の胸の思いがここまでくると、武者ぶるいだか、恐怖のふるいだか、わけの分らぬ胴ぶるいが起って、