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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

ハイと云って、ノブ子も半平の肩をもむ。

「アア、いけねえ。フツカヨイだ」

坊介は頭をガクガクふって、

「オイ、才蔵。オレの肩をもめよ。ボンヤリしてたって面白くもなかろう。お前の手でも我慢してやるから、若いうちはコマメにやりなよ」

「よせやい」

「ボンヤリ睨めっこしてるよりも、一方が後へ廻って肩をもむのが時にかなっているッてことが分らないかな。だから、淑女にもてない」

「うるせえな」

午前十一時。時間がきて、一同は自動車にのりこんで、スルスルとマニ教の神殿へ。

白衣の人たちに迎えられて、玄関を上ったところへ、昨日と同じように二列に並んで坐らされる。

やがて、彼方からの鈴の音が近づくと、

「ミソギイ」

と、若い女の一声。白衣の男がサッと二人立って、板戸を両側にひらくと、御幣を捧げた女と、その左右に鈴を頭上に打ちふる二人の女。いずれも白衣に緋の袴である。

サッと御幣を一となぐり、又、一となぐり。身をひるがえしてパッと去る。彼女らの去るを送って板戸の閉じた音に頭をあげると、昨日の神の使いが正面にチャンと坐っているのである。

いきなり、スックと立った。朱をそそいだ鬼の顔、ワナワナと怒り立つ肩。