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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

よさんか」

白衣の男が彼の襟クビをつかんで荒々しく引き起した。情け容赦もない。フヤラ/\と腰がくだけて、

「ハハハッ」

泣きベソをかきだしていた。どうしてよいやら分らないからである。彼はウロウロした。半平や坊介たちに救いをもとめたかったのだ。それも、かなわぬ、と知ると、覚悟をきめた。というのは、つまり諦めたということである。真正面の大納言の平和な坐り方をまねて目をとじたのである。どっちの方角からも、白衣のマムシの鋭い目が自分を狙っていると思ったからである。

「キサマの霊はくもっているぞウ」

祭壇の下の人物が怖しい叫びを発した。

「アッ」

正宗菊松は、ヤラレタカとすくんだが、ドサリと蹴られる音がしたのは、だいぶ離れたところである。

「コウーラッ」

誰かゞ引きずりだされている。薄目をあけてみると、大納言である。大納言は河馬のようにふとっているから、白衣の男が二人がかりで襟クビをつかんでひきずっても、思うように動かない。チャンと坐って、キチンと膝の上に両手をおいて、平和な顔をちょッとシカメて、仏像が引越すようにユラリ/\とひきずりだされていた。

祭壇の下の神様の代理が、たまりかねたか、躍りかかって、白衣の男の手をわけて、