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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

彼がこゝへ連れこまれたのは、浄められるためであったのである。してみれば、順番にやられるのであろう。

「アア、マニ妙光。マニ妙光」

雑念が起ると、泣きべそをかく。たゞもう夢中に祈るほかには手がなかった。

一方、こちらは取り残された半平一行。

「えゝ、白衣の御方」

ペコンと頭を下げたのは坊介である。

「すみませんが、便所へひとつ、行かして下さいな。俗界の人間は、これだから、いけねえや」

坊介は便所の中から、つぶさに建物を観察する。大きすぎて、とても全貌はわからないが、台所では神様の昼食で人々が立ち働いている様子だから、裏を廻ると見つかってしまう。木立の繁みに隠れて、庭を廻る一手あるのみである。

坊介は戻ってきて、

「どうも、いけねえ。フツカヨイに、下痢をやッちゃったい。腹がキリキリ痛んで、いけねえ」

「薬、あるかい」

「ま、待ってくれ。ちょッと、寝かしてくれよ。ムム、痛え。ウーム。盲腸じゃねえかな。ムムム」

「こりゃ大変なことになりやがったね。あんまり、のむから、いけないよ。アレ、エビみたいに曲っちゃッてピクピクやってるよ。才蔵クン。キミ、抑えてやんないか。ノブちゃん、さすッておやり」