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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

ことごとに得体が知れないので、長範社長、内々大いに不キゲンである。

奇流閣の女中などは手の出しようがない。ゼンゼン、センスが違っている。二十から二十四五ぐらいの婦人社員が、いらッしゃいまし、どうぞお風呂へ、ハイ、タオル、ハイお浴衣と、トントン拍子のよろしいこと。別に愛嬌は見せないけれども、テキパキとその新鮮さ、まかせておけばなんの不安もない。

ところが一方、四人のチンピラの傍若無人なこと、ゼンゼン礼儀をわきまえない。各人アグラをかいて、ペコンと頭を下げて、ヤア、いらッしゃい、と言っただけ、初対面のアイサツもヌキである。

仕方がないから、長範親分、自分で見当をつけて、

「こちらが天草社長。こちらが? 織田光秀さん。そちらは? 白河半平さんだね」

「ザックバランにやりましょうよ。ハハハ。礼儀はダメなんだ。ボクらアプレゲールは祖国なみに廃墟に生れた人間ですからね。石川さん、お料理ができるまで、将棋やろうか」

「それは、いゝ」

半平はなれなれしい。将棋盤をもってくる。ところが、飛車と角の位置をアベコベに並べている。

「ハハハ。アベコベか。むつかしいもんだね」

コマを並べるのをむつかしがっている。