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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

「そうだなア。金庫をあずかるボクとしちゃア、どう返事をしていゝか分らないが、マア、山師とか水商売じみた取引きはやって貰わない方が安心ですね。もっともボクは材木のことは知らないから、この取引きの実際の評価はできませんがね」

「ボクも材木のことは知らないけど、相場よりも安ければ買っていゝわけだね。今後の値下りがなければね。何商品でも、そうだろうねえ。そうじゃないの」

と半平は言葉をついで、

「徳川産業だの豊臣製薬だの藤原工業なんかじゃア工場をたてたがっているんだし、ボクンちも三四ヵ所工場がほしいところだもの、さしあたり、材木のハケ口は足りないぐらいじゃないかしら。製材会社をつくってもいゝや。今のところ石川組程度の輸送能力じゃア、ボクの目の黒いうちは、滞貨はないと思いますねえ。ハッハッハ」

半平の大言壮語は真偽のほどが不得要領そのものである。

「じゃア、当分は芝浦の敷地へ材木をつんでもらうか。才蔵。芝浦の敷地の所番地と地図を書いておけ」

「ヘエ」

才蔵は手帳をさいて地図をかいた。。

「よかろう。話がきまって、結構だ。熊蔵、契約書の用意をしろ。それから手金のことは、昨日才蔵に伝えた通りだが、残金は毎月四百五十万円ずつ、四ヵ月間で支払ってもらう」