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げんだいにほんのしそうたいりつ
現代日本の思想対立
戸坂 潤
「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页
この点については、今日の日本の官僚であろうが政治家であろうが、資本家であろうが地主であろうが、決して根本的な反対は出来ない義理があって、彼等が口を酸っぱくして提唱している思想善導は、つまる処この国防思想の宣伝以外のものには帰着しないはずなのである。
実際、非常時というものが案出されたおかげで、天下の思想善導は初めて具体的な方向と内容とを与えられたのだ。国民精神作興などというのはこの国防思想宣伝の、ごく抽象的な文官制的で文学的な形態に過ぎなかったのである。
この年の九月にはそこで、文部省は陸軍、海軍、外務の各省と提携して、全国の重要都市に非常時国民教育の講演をして歩く講演班を組織した。どうやら国民精神教育も、知育偏重反対とか国体観念の養成とかいう、二階から眼薬式の形態を脱却して、実際的になって来たようである。
この点に来ると何と云っても専門家は軍部であり、特にイデオロギー的に前進している(?)陸軍であるらしい。
林陸相は例のパンフレット問題の弁解をして、あれは新聞班として出版したもので、必ずしも陸軍省の意見ではないと云いながら、今後軍部は、経済動員や資金動員などの国民的動員計画について、続々この種のパンフレットを発行するつもりだと云った。