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げんだいにほんのしそうたいりつ

現代日本の思想対立

戸坂 潤

「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页

青空文庫

それはとに角、政友会が災害予算の追加を招牌に掲げたのは、云うまでもなく政党としての人気取りの政策なのだが、それも単に一般世間や特には市民達の国防予算過大に対する反対意向に投じるためよりも、その選挙地盤であり、従ってその利害を代表する処の地方地主の歓心を頼りにしたものだということは、誰考えぬ者もない事実だろう。

即ち災害費(之は実は主として農村匡救費を意味する)は農村の地主を潤おわすものだということは世間の常識になっていると見ていい。処が世間の一部の常識に従うと、地主が利益を受ければおのずから農民も亦利益を受けるものだと考えられているようだ。そこで地主を救済(?)する農村匡救費は、農民と地主とを一緒にした「農村」そのものを匡救する費用ということになり、従って別に「農民」を匡救する費用を見積らなくてもいいように世間の一部は考えている。

なる程、どんなに普通選挙になっても、元来が選挙は農民自身の日常的な利害と殆んど関係のない場合の方が多いのだから、つまり町村の有志の命ずる通りの(投票の買収による)投票をするわけで、従って、政治家にとっては事実上、地主も農民も同じ実体であり一丸にして「農村」