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げんだいにほんのしそうたいりつ
現代日本の思想対立
戸坂 潤
「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页
農村とはこれに反して、貧乏人のことでもあったり、村役場のことでもあったり、野良着を着た風景でもあったりするらしい。こういう曖昧糢糊とした点がお伽噺しというものの魅力なのだが、処がこのお伽噺しが、日本の現実を動かしているのが事実なのである。
ある評論家は最近の社会問題が、労働問題から農村問題に転向した(?)という発見をしている。農村問題が一種の労働問題でないのかどうかということは今はどうでもいいとして、これなどが「都市対農村」論の立派な見本になるだろう。つまり「都市対農村」のお伽噺しによって、日本の社会問題なるものは農村問題なるものにまで転向し、それにまで変質されたというわけなのである。
今日の「農村問題」なるものが、こういう特殊な因縁を有って担ぎ出されたものだということを、吾々は忘れてはならぬ。
こうなると農村というものは丁度「唄わしてよ嬢」のようなもので、不幸の上にその不幸を利用されるのを見ると、吾々の同情は二倍になるのか、それとも相殺されて了うのか、一寸わからない。
社会問題は今や挙げて農村対策に集中され、またそこに限定される。その第一の方面はいわゆる農村工業化運動なのである。