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げんだいにほんのしそうたいりつ
現代日本の思想対立
戸坂 潤
「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页
そうすれば、電力会社によって救済乃至振興されるのは、東北の農民自身ではなくて、東北にだってゴロゴロ転がっている電気事業資本の方でなくてはならぬということになる。
東北救済といわずに東北振興と呼ぶのは、だから大いに理由があったわけだ。ところがこの振興されるべき電気事業の既成資本家自身が、死活問題だといって反対するようでは東北振興電力株式会社の資本的営利事業は、余ほど不当で不正(?)な利潤追及をやろうとしているに相違ない。新案電力会社の社長を政府が任命したり、一般の取締役が政府の認可を必要とするのも、この資本主義的に不当で不正な利潤追及方法が、脛の傷であるからかも知れない。
だがわれわれは勿論東北振興電力株式会社の株主になろうとも思わないし、またなれるものでもないから、この会社自身が株式会社資本の機構において「不当」であろうと「不正」であろうと、また如何に心細いものであろうと、一向構わないのである。
元々の問題は、電力会社の株式と配当の問題ではなくて、東北地方の貧窮の振興、否、貧窮の救済だったのだ。この点は、少し飲み込みにくくても、東北振興調査会の委員諸氏に充分理解してもらわなければならぬ。